遥・秋山編
大阪・蒼天堀。
一年前、芸能事務所ダイナチェアの社長・朴美玲にスカウトされ、
沖縄から単身この地へやってきた遥。
優勝すれば大手レコード会社からメジャーデビューが約束されている
という人気テレビ番組「プリンセスリーグ」の決勝戦を目前に控え、
歌やダンスのレッスンに余念がなかった。
遥は、朴が全国を探しまわってついに見つけたダイヤの原石。
しかし、少し前まではどこにでもいる普通の女の子に過ぎなかったのだ。
足りない技量を天性の勘と気力でなんとか補っているはいるものの、
遥が一人前のアイドルとしてステージに立つには、絶対的に時間が不足していた。
さらにレッスンの合間を縫うように、
ファンを獲得するための地道な営業活動がスケジューリングされており、
休む暇はほとんどなかった。
一日が終わる頃には身体は疲れ果て、
マネージャーの堀江にアパートまで送ってもらうような毎日。
だがそれでも、遥はこの千載一遇のチャンスをものにし、
"アイドルになる"という夢を実現させるため、泣き言ひとつ言わずに励んでいた。
全ては、自分の夢を後押ししてくれた、桐生、そして沖縄の家族のために。
ついに始まったプリンセスリーグ決勝戦。
遥は、対戦相手である大阪芸能所属のアイドルユニット、
「T-SET」のまいとあずさと出会う。
表向きの愛想とは裏腹に、ライバルである遥に
陰湿な妨害を行うT-SETのふたり。
さらにそのマネージャー中井も、遥と堀江に対し、敵意を露わに接してくる。
だが、関西最大手の事務所、大阪芸能と、遥の所属するダイナチェアでは、
事務所の規模が違いすぎる。何をされても、黙って耐えるしかなかった。
"夢の舞台裏"の厳しさを思い知らされる遥。
それでもどうにか決勝戦第1ラウンドをやり遂げる。
しかし、事務所に戻った遥をさらなるトラブルが見舞う。
ダンストレーナーの萩田が、遥の育成方針をめぐって朴と対立し、
解雇されたのだった。
プロは結果がすべて。そう告げる朴の言葉は、
遥自身にもプレッシャーとなって重くのしかかる。
仕事に関し一片の妥協も許さない朴。
だがその厳格さは"夢"にかける想いの強さ故であった。
ある時朴は、遥のメイクのまずさを指摘する。
早くに母親をなくした遥は、
化粧のやり方など今まで誰にも教わったことがなかったのだ。
呆れながらも、自ら遥にメイクの手ほどきをする朴。
突然の朴の行動に、遥は嬉しくてつい笑みを漏らしてしまう。
「女の子には、母親が必要よね」
遥の心の空白を埋めるように、朴は遥を連れて街へ繰り出す。
仕事の疲れも忘れて、ショッピングを楽しみ、レストランで食事をして、
ゲームセンターで遊ぶ遥と朴。その姿はまるで、
どこにでもいる普通の母親のようだった。
その帰り道、タクシーの社内で朴は遥に自らの過去、
アイドルという存在について、そして"遥に託した夢"について語る。
朴が自分にかける想いの強さを知った遥は、
なんとしてもプリンセスリーグに優勝をすることを固く決意するのだった。
だが…
翌日、堀江からの電話を受け事務所に駆けつけた遥が目にしたのは、
"自殺"して変わり果てた姿となった朴だった…
同じ頃、秋山駿は蒼天堀にいた。
スカイファイナンス蒼天堀支店。新たな事業を起こすため大阪へとやってきて
いた秋山は、以前金を融資した女・朴美玲が自殺したという知らせを受ける。
ダイナチェアに駆けつけた秋山は、そこで澤村遥と運命の再会を果たす。
朴の"夢"にかける想いの強さを知っていた秋山と遥は、朴の死が自殺では
有り得ないと断定し、独自に捜査を開始する。
それは大阪芸能そして近江直参逢坂興業という関西芸能界の暗部、
極道社会にまで迫る危険な闘いの始まりだった…
一年前、芸能事務所ダイナチェアの社長・朴美玲にスカウトされ、
沖縄から単身この地へやってきた遥。
優勝すれば大手レコード会社からメジャーデビューが約束されている
という人気テレビ番組「プリンセスリーグ」の決勝戦を目前に控え、
歌やダンスのレッスンに余念がなかった。
遥は、朴が全国を探しまわってついに見つけたダイヤの原石。
しかし、少し前まではどこにでもいる普通の女の子に過ぎなかったのだ。
足りない技量を天性の勘と気力でなんとか補っているはいるものの、
遥が一人前のアイドルとしてステージに立つには、絶対的に時間が不足していた。
さらにレッスンの合間を縫うように、
ファンを獲得するための地道な営業活動がスケジューリングされており、
休む暇はほとんどなかった。
一日が終わる頃には身体は疲れ果て、
マネージャーの堀江にアパートまで送ってもらうような毎日。
だがそれでも、遥はこの千載一遇のチャンスをものにし、
"アイドルになる"という夢を実現させるため、泣き言ひとつ言わずに励んでいた。
全ては、自分の夢を後押ししてくれた、桐生、そして沖縄の家族のために。
ついに始まったプリンセスリーグ決勝戦。
遥は、対戦相手である大阪芸能所属のアイドルユニット、
「T-SET」のまいとあずさと出会う。
表向きの愛想とは裏腹に、ライバルである遥に
陰湿な妨害を行うT-SETのふたり。
さらにそのマネージャー中井も、遥と堀江に対し、敵意を露わに接してくる。
だが、関西最大手の事務所、大阪芸能と、遥の所属するダイナチェアでは、
事務所の規模が違いすぎる。何をされても、黙って耐えるしかなかった。
"夢の舞台裏"の厳しさを思い知らされる遥。
それでもどうにか決勝戦第1ラウンドをやり遂げる。
しかし、事務所に戻った遥をさらなるトラブルが見舞う。
ダンストレーナーの萩田が、遥の育成方針をめぐって朴と対立し、
解雇されたのだった。
プロは結果がすべて。そう告げる朴の言葉は、
遥自身にもプレッシャーとなって重くのしかかる。
仕事に関し一片の妥協も許さない朴。
だがその厳格さは"夢"にかける想いの強さ故であった。
ある時朴は、遥のメイクのまずさを指摘する。
早くに母親をなくした遥は、
化粧のやり方など今まで誰にも教わったことがなかったのだ。
呆れながらも、自ら遥にメイクの手ほどきをする朴。
突然の朴の行動に、遥は嬉しくてつい笑みを漏らしてしまう。
「女の子には、母親が必要よね」
遥の心の空白を埋めるように、朴は遥を連れて街へ繰り出す。
仕事の疲れも忘れて、ショッピングを楽しみ、レストランで食事をして、
ゲームセンターで遊ぶ遥と朴。その姿はまるで、
どこにでもいる普通の母親のようだった。
その帰り道、タクシーの社内で朴は遥に自らの過去、
アイドルという存在について、そして"遥に託した夢"について語る。
朴が自分にかける想いの強さを知った遥は、
なんとしてもプリンセスリーグに優勝をすることを固く決意するのだった。
だが…
翌日、堀江からの電話を受け事務所に駆けつけた遥が目にしたのは、
"自殺"して変わり果てた姿となった朴だった…
同じ頃、秋山駿は蒼天堀にいた。
スカイファイナンス蒼天堀支店。新たな事業を起こすため大阪へとやってきて
いた秋山は、以前金を融資した女・朴美玲が自殺したという知らせを受ける。
ダイナチェアに駆けつけた秋山は、そこで澤村遥と運命の再会を果たす。
朴の"夢"にかける想いの強さを知っていた秋山と遥は、朴の死が自殺では
有り得ないと断定し、独自に捜査を開始する。
それは大阪芸能そして近江直参逢坂興業という関西芸能界の暗部、
極道社会にまで迫る危険な闘いの始まりだった…